ワズライ
最近疲れやすくなった。 そんな気がする。 食事をまともに取らない日もあるけど、倒れない程度には食べている。 そのはずなのに、貧血気味なのか眩暈がする。 肩こりもするし、何より・・・・・堰が出る。ワズライ 〜患〜 「ゴホッ・・・ゴホッ・・・・・・・」 「おいおい、大丈夫かよ?」 「ゴホッ・・だいじょ・・ゴホッ」 「・・・・ったくよ・・・」 今は待機所で次の任務の開始時間を待っている。 何時もならぎりぎりの時間帯、もしくは少し過ぎてから待ち合わせの場所に行く。 でも、最近は時間を守るようになった。 いや、むしろ一人になるのを避けるようになったといったほうが正しいかもしれない。 一人になるとナルトのことばかり考えてしまう。 それを避けるためにもなるべく誰かと一緒に居たほうがいい。 女と寝て時間を紛らわせようとも思わないし、ここに居るしかない。 次の任務はAランクの上忍だけで編成された任務。 スリーマンセルで俺とアスマと紅。 隊長はアスマ。 本来なら俺が抜擢されるはずだけど、綱手様が異常なぐらいに俺を嫌っている。 任務の結果報告をしても、爪弾きされる。 周りから見たら完全にパワハラだ。 でも誰も何も言わない。 それは周りが俺に責任があることを知っているからだ。 誰もが自業自得だと思っている。 中には哀れに思っている奴も居るが、余計なお世話だ。 「お前、今日の任務やめておいた方がいいんじゃねぇか?」 「・・ゴホッ・・・・いや、出るよ・・・」 「でも、このままじゃ任務に支障がでるわ」 「任務中に倒れられたらこっちが迷惑だからな」 「大丈夫だって・・・。自分の面倒くらい自分で見られる」 「どうだか」 「同感」 アスマと紅はジットリと俺を見た。 その目は心配と疑いの目だった。 俺の健康状態を心配し疑っている。 「・・・大丈夫だよ・・・無理だと思ったら直ぐに知らせるから」 「それが問題なんだよ」 「そうよ。激戦中の場合だったらどうするのよ。 子供じゃないんだから考えなくても分かるでしょ?」 「・・・・・・でも、俺最近任務サボってばっかりだし・・」 「いーわよ!今までためまくった有給を使い果たせばいいじゃない」 「んじゃ、そういうことで、お前帰れ」 そして結局のところ自室に戻るハメとなった。 「ゴホッ・・・・はぁ・・・」 戻ったところでどうしようもない。 考えるのはナルトのことだけ。 今何をしているのか。 俺のことは少しでも思ってくれるだろうか。 どうしたら元に戻せるのだろうか。 ―――――・・・会いたい。 ―――――――・・・抱きしめたい。 ―――――――――――・・・・キスしたい。 ずっと一緒にいたい。 そればかり。 「ゴホッ・・・ゴホッ・・・ナルト・・・・ナルト・・・」 まるで悪夢にうなされているようにつぶやく。 身体が重い。 息が苦しい。 身体のあちこちが痛い。 「・・・・ぅっ・・・・ぁっ・・・っ」 刺す様な痛みが俺の身体に襲い掛かった。 胃と胸が痛い。 あまりの痛さにひざをついてしまった。 俺はそのままうずくまるように身体を丸めた。 「・・・・・ここは・・・」 目を覚ますと目の前には真っ白な天井があった。 サラサラとした白いシーツ。 薬品の匂い。 「・・・・病院?」 「あ、やっと気が付きましたか」 声がする方向に目を向ければそこに立っていたのは綱手様と知り合いの医師。 綱手様は冷たい視線をこっちに注ぎ、知り合いの医師は俺の脈を取り始めた。 「・・・・うん。大分安定してきましたね」 「俺は・・・一体・・・」 「お前は自分の家で倒れていたのさ。ほら、コレがお前の診断書だよ」 カルテを投げるようにベッドに置いた。 そのカルテを見てこぼれたのはため息。 「・・・十二指腸潰瘍、虚血性心疾患・・・・」 「完全にストレス性の病気ですね」 「お前が自宅で倒れているのをナルトが発見してな」 「ナルトが!!?」 ナルトという単語を聞いて勢い良く起き上がってしまった。 その瞬間に刺さるような痛み。 「・・・っく・・・」 「ああ、ほら・・・安静にしてください。 一昨日手術を終えたばかりなのですから」 「・・・お、一昨日?」 「お前はまるまる三日間も寝ていたのだ」 「三日・・・そんなに・・・」 「カカシさん。 明日は精神科の受診もしてもらいますから、今日はゆっくり休養をとってください」 「・・・・・はい」 「それでは、お大事に」 医師は出て行った。 俺は綱手様のほうを確り向き、口を開いた。 「ナルトが俺の家に来たんですか?」 「さっきも言っただろう。 お前の家に行ったナルトが第一発見者だと」 「どうして、ナルトが・・・」 「私が頼んだ。 お前に渡さなくてはならない品があってな。 ナルトに届けさせた。そしたらお前が家で倒れていたと言ってきた。 どんなに最低な下衆野郎でも、一応は恩師だからな。 一目散に私のところに来て報告をしてくれたよ」 「・・・・そう、ですか」 落胆した自分が居る。 「期待したか?」 「え・・・」 俺の心を手に取ったように聞いてきた。 俺は一瞬ポカンとしてしまったが、頷いた。 「ナルトが俺の元へ自分の意思で来てくれたんだって期待しました」 「・・・・・・・・」 「でも・・・それは絶対に無いみたいですね」 自分で言って情けなくなっていく。 結局のところ、自分はダメなのだ。 俺がどんなに努力してもナルトの心はもう向かない。 それを認めたくなくて、否定したくて。 だからこうした少しの事とかにも淡い期待をする。 そして裏切られて勝手に落ち込む。 その負の連鎖の繰り返し。 「お前は当分休め」 綱手様はそれだけ伝えると出て行ってしまった。 俺は一人になり、目を閉じた。 今は眠ろう。 寝ている間は・・・・寝ている間は・・・。 「そろそろ潮時じゃの・・」 「ストレス性の病気で遂に倒れたよ」 「ま、十分反省したじゃろ」 「そうだね。これでまた浮気でもするようだったらどうしてやろうか」 「去勢でもどうじゃ?」 「はは・・・それはいいね」 綱手と自来也はニヤニヤと笑いながら手元にある巻物に火をつけた。 「さてと、アイツの豆鉄砲を食らった顔を拝むとするかの」 巻物は燃え、灰となり、灰皿に倒れた。 灰皿の隣の水晶には病院で悪夢にうなされているカカシと自室で安眠中のナルトが映っていた。
あとがき 『カカシ先生、最低だってばよキャンペーン』実施中です。 次回で終了です。 カカシ先生をできるだけいじめまくりました。 本当はもっと苛めておきたかったのですが、そろそろやめてあげないと、オーバーキルです。 ストレス性ハゲは皆様の頭の中で展開してくださいませ。 今回は胃潰瘍と心疾患と自律神経失調症で許してあげます。 さて、カカシ先生の胃と心臓と精神は救われるのか!?