ワズライ
      
 






「はぁ・・・・」
「・・・ったく、またかよ」


ここは上忍待機所・人生色々。
ぼんやりと窓から空を眺めているはたけカカシをイライラしながら傍観している猿飛アスマ。
本日46回目のため息を吐くカカシに絶賛イライラ中。


「てめぇ、その辛気くせぇため息いい加減にやめろ。こっちまでしけっちまう」


タバコに火をつけながらカカシを睨む。
一方カカシはそんなアスマの声など全く届いていない様子。
ただ、ぼんやりと空を眺めている。







ワズライ 〜狂〜
ナルトから『千年の恋も冷めたってば』と言われてから1週間。 カカシに変化が起きた。 まず、女性と一緒に居るところを見かけなくなったことだ。 言い寄ってくる女はまだ星の数ほど居るが、前よりは減った。 その理由がカカシのこの状態の所為だ。 話しかけてもどこか上の空。 酷いときは「ちょっと黙ってくんない?」とか「邪魔だから帰って」とか 「悪いけどもう関わらないでくれる?」とか言っている始末。 そんな反応を見せる所為で女達は直ぐに離れている。 性の吐き捨てとして行っていた女との性行為も最近ではめっきりだ。 「トイレに行ってナルトを想ってヤルほうがイける」と最中に言うからだ。 反応はするものの、イかなくなったらしい。 そのうち、どんな女相手でも起たなくなるだろう。 そのほかの変化は上の空。 任務中は違えど、一度任務が終わればこの通り上の空。 任務を知らせる忍鳥と遠くから聞こえるナルトの声以外反応しなくなった。 火影の綱手の声すら聞き漏らす事が多い。 その事で「自己管理は確りしろ!!大人だろっ」と叱られた。 三十路前の男に「大人だろっ」と叱る綱手。 そして叱られる三十路前男、はたけカカシ。 しかしその事も気にならないのか自分の精神は空高く。 それ以外にもため息の回数。 ナルトの声への反応の速さ。 体調などが挙げられている。 そして本日も人生色々で友人を苛立たせるほどのため息を吐き続ける。 窓の外を見ては、空を見てナルトを思い出し、通りを見てナルトを探す。 その繰り返しを行う。 それをコッソリ火影執務室で見ていた綱手と自来也。 二人の口許はニヤリと釣りあがっている。 「大分追い詰められたようじゃのー」 「ふんっ、私の可愛いナルトを苦しめた罰だ。じっくり苦しめ」 「お前も趣味が悪いのー」 「同じように楽しんでいるお前は同罪だろう」 「ま、そうだな」 自来也は水晶から目を離し、空を眺めた。 「で、いつごろ解くつもりだ?」 自来也の背中めがけて綱手が問うた。 「任務で使えんようになってからで十分じゃろ。 その兆しが見えてきたらランクを下げてやれっての」 「そうするか。久々に奴の憂鬱そうな顔を見たい」 「・・・ま、それも一興・・・ってな」 「なぁ、ナルト・・・。お前いい加減カカシを許してやってくんねぇか?」 カカシの同僚であり、腐れ縁という奴の猿飛アスマ。 本日、ナルトの自宅までわざわざ出向いてのお願いだ。 というのもここ数日、カカシが人生色々で湿っぽいため息を漏らすからだ。 そのため息に連鎖されるかのように鬱病の予備軍が続出しているのだ。 何よりも自分自身がいやなのが一番大きい。 折角気を落ち着かせるために咥えたタバコも美味しくなくなる。 それくらい重く長いため息をカカシが吐くからだ。 「お前だってまだカカシのことが好きなんだろ?」 「朝早くになんだと思えば、そんな用事だってば?」 えらく冷めた様子のナルトに驚く。 カカシのことなど毛頭気にせずの様子。 「ナルト・・・お前・・・」 「アスマせんせー・・・。 そんな事を聞きに来る暇があるんなら、紅先生のところに行ったほうがいいってばよ? 俺と浮気をしているって思われたら大変だってばよ」 「・・・・・・・・」 「俺ってば忙しいから、さっさと帰ってくんね?」 まるで人そのものが変わってしまったかのようなナルトの態度に唖然とするアスマ。 呆けている間に目の前のドアは閉められてしまった。 「カカシ・・・さっき、ナルトに会ってきたんだが・・・」 「!!!!」 異常なほど反応を見せるカカシに驚くアスマ。 人生色々に来てみると、カカシはどこか窓の外を見て呆けていた。 そのカカシにポツリと世間話をするように話しかけると超反応を見せた。 「でっ!!?ナルトはっ!!?」 「ちょ、落ち着け!」 「あ・・・ゴメン」 無意識のうちにアスマの胸倉を掴んで鬼気迫っていた。 それほど必死なのだとアスマは横目で見た。 「お前とよりを戻さねぇのかって聞いたらな・・・」 「な・・なんて?」 「・・・そんな事を聞きにくる暇があるのなら、紅のところに行けって言われてな。 全く興味も示さねぇ」 「・・・・・そ・・・」 急激にしぼんでいく旧友を見、知らず知らずのうちにため息をこぼす。 「お前、ナルトがあんな状態になる前、最後に言った言葉覚えているか?」 「・・・うん」 「なんていったんだ?」 「『そんな見栄を張っちゃって、後悔しても知らないよ〜』って言った」 「後悔したのはお前だったな。ナルトは全く後悔なんかしていなかったぞ」 「うん・・・・俺が馬鹿だった・・・」 「わかってんなら、謝りに行けよ」 「でも、もう100回も謝った」 「なら1万回土下座して許してもらえ」 「・・・・・・・」 あれから結局、任務をする気になれずカカシは自宅へ戻った。
なら1万回土下座して許してもらえ
その言葉が頭の中でリピートし続ける。 「ナルト・・・・・・・ナルト・・・・・・・ナルト・・・・・」 1万回土下座をして許してもらえるのならする。 でも、ナルトの心にはもう自分の姿が無いのを見てしまった。 あの透き通った碧い目には自分が映らなかった。 あんなに綺麗さっぱりに居なくなってしまった。 その事実ともうむりだという現実に気が狂いそうだった。 どうしたらいい? ナルトを監禁したら思い通りに行く? それとも、このままナルトを忘れてしまえば・・・。 どれも無理な気がした。 どっちを選んでも結局はナルトの心を求めてから回りする。 ならどうしたらいい? 答えは見つからない。 このまま自分が壊れていくのかと・・・・。 そんなことを考えながらも、また夜は深まる。 そしてそのまま、また朝を迎えた。

あとがき 『カカシ先生、最低だってばよキャンペーン』実施中です。 さて、先生の病気がそろそろ危険になってきました。 本当はストレス性ハゲにでもしてやろうかと思いました。 ですが、それだったらある意味裏行きなので、やめました(笑) とりあえず、ストレス性の病気を一つ発症させてから完結させます。 もう暫くお付き合いお願いいたします。