ワズライ
      
 












ワズライ 〜失〜
ナルトが出て行った後、入れ替わるようにアキが戻ってきた。 「たっだいまぁ〜!!!タバコ買って来たよぉ〜」 コンビニのビニール袋を振り回しながら入ってきたアキは見た目よりも幼く見えた。 「あれぇ〜?それってカカシの部屋の鍵?」 アキは俺にタバコを渡した後、俺の背後の壁に突き刺さっている鍵を見て不思議そうに言った。 振り返り突き刺さっている鍵を見る。 本気で投げたらしく、鍵は見事に壁にめり込んでいる。 殺気を含んでいたからやや殺す気で投げたのだろう。 「ああ、さっき“元”恋人が返しにきたんだよ」 「あぁ・・・あのうずまきナルトっていう子?」 「そ。俺に愛想尽かしたんだってさ」 「へぇ〜・・・じゃ、あたしにちょーだい」 鍵を壁から取り出すとアキはそれを物欲しそうに見た。 この時、俺はどうせナルトは直ぐに考えを直すだろうと思っていた。 「だ〜め。これは俺の恋人しか持てないの」 「じゃあ、アキを恋人にしてよぉ」 「悪いね。恋人は特別気に入った人しかなれないの。誰だってそうでしょ?」 「なら、アキがカカシのお気に入りになったらその鍵くれる?」 食い下がらないアキにため息を一つこぼしカカシは頷いた。 「やったー!!なら、アキ頑張っちゃう!!」 飛び跳ねる勢いで喜ぶアキはカカシの腕に頬を摺り寄せた。 柔らかな肌が当たる感覚はとても心地よい。 カカシはそのままアキの好きにさせて、手元にある少し曲がった鍵を見つめた。 それから2日後。 本日は新7班での任務。 そこにそろう面子は、カカシ・サクラ・サイ・ナルト。 2日ぶりの元恋人。 今頃自分がしたことを後悔してどうやって俺とよりを戻そうかと考えているだろう。 そう思うだけでも口元が緩む。 カカシははやる気持ちを抑えて集合場所に向かった。 「やぁ、諸君!今日は空から美女が降ってきて・・・」 「はい、嘘!!!」 即答でサクラが反応。 しかし、ナルトは無反応。 「あ、あれ?ナルト?」 「ナルト?」 不審に思ったサクラとサイ。 理由を知っているカカシはナルトの前に立った。 「どうしたの、ナルト?元気が無いけど?」 悔しそうに顔を歪めているであろうナルトにニッコリと微笑む。 しかし、 「あ、ああ・・・わりぃ。ぼうっとしてた」 そっけなく、あくび。 何時ものナルトらしからぬ。 まるでやる気が無い。 「どうしちゃったの、ナルト? アンタにしては珍しい・・・」 「またカカシさんが浮気をしたのかい?」 空気を読まず、サイがストレートに言った。 サクラの表情がピクリと動き、カカシは頬をかいた。 「ああ、別にもうどうでもいいってばよ。 もう相手にするのも疲れたし、勝手にしてればいいし・・・」 強がっているだけかと思っていたが、声の調子からして本当に興味がないらしい。 流石に予想外のことに目をむくカカシ。 本当ならばここで自分を思いっきり意識させて、任務終了後にはよりを戻すはずだった。 しかし、ナルトの淡白な反応に調子が狂う。 「カカシ先生、遂に捨てられたわね」 ボソリと言ったサクラの言葉がやけにリアルだった。 本当に自分に対して興味や好意を失った。 そんなナルトを目前にするとサクラの言葉が真実に思えた。 「カカシ先生、さっさと任務終わらせてぇんだけど。 始めてくんねぇ?」 「・・・あ、ああ」 動揺を隠せないで居た。 「あ、あのさ、ナルト」 「何?俺早く帰りてぇんだけど?」 「いや、直ぐに済むから」 「そう、で、なんだってば?」 任務終了後、ナルトに話しかけた。 任務中、自分のことを少しは気にするだろうと思い、ナルトに集中していたが、そんなそぶりは全く無かった。 むしろ自分が意識してばかりだった。 「悪かったよ・・・もう絶対に浮気しないから、だから」 「用って、そんなこと?」 『戻ってきて欲しい』といおうとした言葉を遮ったナルトの言葉。 それはとても冷たく、そして素っ気無い。 ナルトはバツが悪そうに頭をかいた。 「あのさ、先生」 「・・・・なに?」 「俺ってばもう先生のこと好きじゃねぇんだってばよ」 「っ・・・それは、俺と完全に分かれるって事?」 「俺はそのつもりであの日別れたんだってばよ?」 「・・・・俺は、お前に酷い事をしたと思っている。 反省もしたし、これからは絶対にしないって約束するから、だから」 「その言葉は聞き飽きたってばよ」 「ナルト・・・」 ナルトはカカシに背を向けた。 「いいじゃん別に。俺なんか居なくっても先生にはたくさん女の人がいるじゃねーかよ」 「俺は、お前がいいんだ」 「俺はもう先生はいやだってばよ」 「・・・・・・・・・・・」 「これからは“恋人同士”じゃなくって“先生と生徒”だってばよ」 そういうとナルトは歩き始めた。 カカシは今すぐナルトを止めたかった。 止めて抱きしめたかった。 見っとも無くてもいい、それでもいいから縋り付きたかった。 でも足が動かなかった。 唯ボウッとナルトが歩み去っていくのを見るしかなかった。

あとがき 『カカシ先生、最低だってばよキャンペーン』実施中です。 今回のカカシ先生は、ようやく自分がしたことの重さに罪悪感を持ち始めました。 つーかおせぇよ!! ナルトが仏様以上の包容力があることにはご愛嬌。 23回も浮気を許せるナルトはどんな妻よりも強靭な精神を持っている。 将来はカカア殿下になるのは分かりきっていますが・・・(笑)