第二章 繋
      
 












「カカシセンセー!!遊びに来たってば!!」
「いらっしゃい。待ってたよ」


仕事が終わり、俺は自分の家ではなく、カカシ先生の家に来ていた。

あれから、俺たちの仲は“友達以上恋人未満”という仲になった。
センセーは相変わらず俺に優しいから、俺もそれに甘えてしまっている。
ま、センセーの場合は俺に下心ありでやってるらしいから、ちょっと警戒してっけど。


「先生、今日も定時上がり?」
「そうだよ。俺は優秀だからね」
「暇そうで羨ましいってば・・・」
「あのね・・・。ま、いいか。お前、明日も仕事?」
「いや、明日は休みだってば」
「なら泊まっていきなよ」
「そのつもりだってば」


靴を脱いで家に上がると、既に机の上には2人分の食事が用意されていた。
コレを全部作っているから驚きだってばよ・・・。


「ウマそー」
「はいはい、お褒めの言葉は後ででいいから手を洗ってきなさい」
「は〜い」


こーゆーところで“先生”なんだってばよ。





食事が終わった後は何時も決まって二人で食器を片付ける。
それからソファーに座って二人でテレビを見ながら他愛もない話をしている。
このマッタリとした時間が実はすんごい好き。


「・・・んでさ、俺が『持ちましょうか?』って言ったら、『年寄り扱いするな!!』って怒鳴るんだぜ?」
「はは・・・親切が空回りなんだ?」
「俺ってば、おせっかい?」
「そんなことないよ。その人はその人なりのプライドって物があるんでしょ?」
「でもさ、でもさ!あんなに怒鳴んなくても・・・」
「ま、そこはナルトが大人になって『そーですか』とでもスカした顔で言ったら?」
「・・・・そんなの、センセーぐらいしかできねぇってば」
「ま、ナルトは無理だろうね」
「ひっでー」


ナルトが頬を膨らませるとそれをつぶすかのように両手ではさんだ。


「それがお前らしいんじゃない?」
「・・・・・そう・・・なんだってば?」
「そーなの。お前はお前らしくあればいいの。
俺はそのままのお前に惚れたんだから」
「なっ!!」
「ふふ〜ん」
「ちょ、抱きつくなって!!ぎゃー!!」


カカシはナルトに抱きつき、頬ずりする。
ちゃっかりナルトの足も絡め取っているので、身動きがほとんどできない。


「ほら、暴れないの」
「暴れるにきまってんだろ!!俺たちまだそんな仲じゃねぇ!!」
「なら、早く俺を好きになってよ」
「そんなにすぐに好きになるかッ!!第一男という壁を忘れるなってばよ!!」
「そんなの、生物学的な部分でしょ?たいした壁じゃないじゃない?」
「十分大きな壁だってばよ・・・・」
「まぁまぁ、俺は男とかそんなの関係なしにお前が好きだから、ね?」
「・・・・・ったく・・・しょーがねーってばよ・・・」
「じゃぁ!」
「違うからな!!今日だけ、抱きつくのは目をつぶってやるってば・・・」
「・・・・ありがとね」


カカシはナルトを抱き上げ、自分のひざに乗せた。
20を超えて、まさか大人の男のひざの上に乗せられるとは想像もつかなかったなると。
現状にため息も吐きつつ、不思議といやじゃない自分にもため息。
カカシは嬉しそうに後ろからナルトを抱きしめる。


「ナ〜ルト・・・愛しているよ」
「・・・・・・ったく」
「んふっ・・ふふふふ」
「笑い方が怪しいってば!!」
「だってー・・・ナルトがこんなに近くに居るんだもん」
「はぁ〜・・・まるで十代の女の子だってばよ・・」
「乙女のようにナルトを愛しているってこと」
「甘酸っぱいってばね」
「そ!甘酸っぱい初恋のようなカンジ!!」
「初恋は実らねぇって言葉、知ってる?」
「男同士の恋愛に関係ないよ」
「・・・ヘリクツだってば」
「い〜の!」


ナルトの両肩に手をやり、押さえ込むようにソファーに沈めた。
一瞬の行動だったため、ナルトは反応する暇も無かった。


「捕獲完了ぉ〜」
「・・・・ちょ、何するってば!!重いっ」
「文句言うところ、そこ?」
「いいからどけってば!!」
「嫌だ。キスぐらいさせてよ」
「それは恋人同士がすることだろうが!!」
「愛人同士でもやるけどね」
「まだ愛人じゃねぇ!」
「“まだ”ね」
「・・・・っ」


片手で顎を持ち、もう片方の手で首筋をなぜる。
その一連の動作にビクリと反応する。
それに気分をヨクしたのか、行動はエスカレート。


「ナ〜ルト」
「・・・・っ、やめ」
「ん?何が?」


極上の甘い声で耳を犯す。
耳に吐息があたるくらいの距離まで顔を寄せる。
ナルトの行動を制限するように体重をかける。
首筋を撫でていた手をゆっくりと、なぞるように着崩れているカッターシャツの隙間を這わせる。


「・・んっ・・・ぁ」
「・・・・クス・・・・ねぇ、早く堕ちておいでよ」
「・・・せ、せんせ・・・」
「お前が堕ちてきたら、今以上にイイ思いをさせてあげる」


ヌルリと舌で耳を舐め、耳たぶにやんわりと歯を立てる。
それにもビクンッと反応する。


「・・・ナルト・・・」
「せんせ・・・・ぁ、ひゃ・・」
「可愛い・・・」


顎を掴んでいた手はナルトの唇を撫でている。
その指が唇から離れ、「うわっ、キスされるっ」と思ったナルトは反射的に目を閉じた。


しかし、キスは来なかった。
胸元を這っていたカカシの手は引き、自分の上に乗っていた体重もなくなっていった。
目を開けると、まるで何も無かったかのように隣に座ってコーヒーを飲むカカシ。


「・・せんせ?」
「続きは、付き合いだしてからね」
「!!!!!!」
「はぁ〜・・・・早くキスしたいな・・・」


しみじみと愚痴をこぼしながらコーヒーをすするカカシを固まったまま見るしかなかったナルト。


「キスの次は、ナルトとエッチしたいなぁ〜」
「なっ!!!!」
「はぁ〜・・・ナルトを落とせるように、俺も頑張んなきゃナ・・・」
「な、何言ってんだってばよ!!」
「何って、当たり前でしょ?俺はお前が好きなの。
お前に好きになってもらって、キスとかエッチとかしたいわけよ。
男としては当たり前の感情でしょ?」
「俺も男だってばよ!!」
「そうだねぇ〜・・・でも、そんなのって恋愛には大した問題じゃないと思うけどなぁ〜」
「十分大きな問題だってば」


ナルトがガックリと肩を落とすと、カカシはナルトの右手を掴んだ。
否、掴んだというより、手をつないだ。


「先生?」
「手をつなぐぐらいいいでしょ?」
「・・・・・・」
「いや?」
「別に・・・嫌じゃないってばよ」
「そ、よかった・・・」
「・・・・・・・っ」


安心したような表情に息を飲む。
何故か心が詰まるような感覚をナルトは感じた。