第二章 繋
36階。 角部屋。 4LDK。 バルコニー広し。 高級家具様々。 「すんげぇ部屋。一人で暮らすにしては広すぎじゃね?」 「でしょー。俺一人しか居ないのに4LDKだよ?」 「広すぎると逆に寂しいってばよ・・・」 「そうなんだけどね。奥さんがココにしてほしいってね」 「言いなりだってばよ。カカア天下?」 「そうなのかなぁ?あんまり会話がないからね」 「それも寂しいってば」 「俺もそう思う。夫婦って言っても、戸籍や法律上でそうなっているだけだね」 カカシは冷蔵庫から幾つかの食材を取り出した。 「何か嫌いな食べ物ってある?」 「野菜」 「そんなナルトのために美味しい野菜料理を作ってやろう」 「ゲッ」 いそいそとたくさんの野菜を取り出し始めた。 肉少々、野菜こんもり。 ナルトは慌てて冷蔵庫に駆け寄った。 しかしナルトが駆け寄ったときには既にキッチンに置いて洗い始めていた。 「センセー、俺ってば野菜はノーサンキューだってばよ!!」 「なぁ〜に言ってんの。ちゃんと野菜を食べないと折角くっ付いた骨がすぐにパキッって折れるよ?」 「マジで?」 「マジで。カルシウムだけとっても、それを吸収するための栄養分を取らなかったら排出されるだけだからね」 「・・・・・・・・」 「俺、腐っても医者だから。嘘つかないし」 「さっきついたじゃん!!」 「それはそれ。これはこれ」 「・・・・・・・・」 「俺が作った料理、食べられないの?」 「・・・食べるってば。折角センセーがつくんだから」 「ん、エライエライ」 「何か手伝うってばよ」 「そ?なら・・・・・」 少々広すぎるキッチンに並ぶ2人。 ナルトは大人しくカカシが言うとおりに野菜を切っていく。 意外な手つきに驚くカカシ。 「お前って、意外に料理ができるんだね」 「まぁ、一応一人暮らしだからな」 「へぇ・・・なら、今度はお前に作ってもらおう」 「センセーの料理が美味しかったら作ってやるってばよ」 「ふーん。なら頑張っちゃお」 「おう、期待してるってばよ」 「旨い!!!センセー、奥さんが可哀相だってばよ」 「そんな事はないと思うが、そういってもらうと嬉しいね」 「お料理上手で金持ちでイケメン・・・・・いい物件だってばよ」 「お前ね・・・俺を新築マンションみたいな扱いするなよ」 「だってホントのことだってば」 「んじゃ、俺はイケメンなんだね」 「自分で言ったら台無し」 カカシが作った料理はどれもこれもすばらしい数々。 和食を中心としたメニュー。 ふんだんに使われている野菜も味が気にならないくらいの美味しさ。 「あ、そういえばさー」 「ん?何?」 「センセーに聞きたいことがあった」 「だから何?」 「センセーって、浮気とかすんの?」 「・・・・・・・・・・は?」 あまりにも急な問いでカカシは口元へ運んでいた白米をポロリとこぼしてしまった。 こぼれた白米は元のお茶碗の中に入った。 「だってさ、先生の環境って、浮気してもバレないだろ? んでもって、まだ20代。イイ男だし、女性には困らない環境そうだし?」 「お前ね・・・・・」 「美人な看護士さんが多い病院だし。この前部屋に来た女医さんも美人だったし」 「え?お前の部屋に女医が来たの?誰?」 「白亜先生」 「・・・・・・・・」 「白亜センセーってば、すっげぇ美人だな!その上優しいし!!」 「はぁ・・・・ねぇ、白亜先生に何か言われた?」 「うん。『渦巻さんは誰か好きな人は居るの?』って言われた」 「んで?」 「『今はいねぇけど?』って言ったら『なら、あたし、立候補しちゃお』って」 「・・・・・・・・白亜先生には気をつけろよ?あの人は既婚者だろうと患者だろうと構わず 食べてしまう人だからね」 「はぁ?」 「ま、診察のときは俺が診るからいいけど、もし白亜先生になったとしても、決して 二人っきりになったりするなよ?食われるのがオチだ」 「さっきから喰うだの・・・なんだってば?」 「内緒だけどね・・・・」 カカシはお茶を飲んで息を吐いた。 「白亜先生は男だよ」 「・・・・・は?――――はぁぁぁぁぁぁ!!?」 「まぁ、御釜様ってわけ。あの格好は先生が希望してやってんの」 「マジで!!?」 「マジよマジ。 あの先生はあ〜やって自分のお色気で患者、同僚、上司を誘ってんの」 「・・・・・・・・・・・」 「今度診察に来た時に確認してみれば? 俺が一緒だったら襲われるようなことはないと思うし・・・・・。 あの人、胸はあるけど下にはしっかりとお前と俺にもついているモノがあるからね」 「・・・・・うげぇ」 「ま、この世にはいろいろな人がいるんだよ」 「はぁ・・・・って、そうじゃなくって!!実際どうなんだってば!?」 「あら、せっかくそらしたのに…」 話を違う方向へ誘導されていたことに気づき、文句を言う。 内心、「チッ」と舌打ちするカカシ。 さらに詰め寄るナルト。 「浮気すんの?っていうか、しないの?」 「しなぁ〜いよ?」 「ホントに!?」 「はぁ〜・・・浮気なんてしたくてもできないよ」 「奥さんが好きだから?」 「いや、むしろ奥さんに監視されているからかな?」 「は?だって奥さんは…」 「そ、奥さんは駅5つ先の郊外に住んでる。 でも、奥さんの父親に監視されてんの」 「奥さんの父親?」 カカシは食事の手を止めて席を立った。 まっすぐとリビングへと向かい、ソファーに置いてある鞄からパンフレットを取り出した。 それをもってダイニングへと戻ってくる。 パンフレットをナルトに差し出した。 「これって木ノ葉大学病院のパンフレット?」 「その1ページ目を見て」 「ん・・・・・・?あまぎ シバリ?」 「そ。その天城シバリっていうのがウチの総長。 大学病院で一番偉い人なのよ」 「で、このオッチャンがどうしたんだってば?」 「その天城総長が俺の奥さんの父親」 「・・・・・・うえぇぇぇぇぇっ!!?」 「だから俺が浮気をしたくてもできないのよ。 ま、浮気するほどの相手なんていないけどね」 「センセーってば、将来は木ノ葉大学病院の一番偉い人になるんだってば?」 「さぁね?とりあえず、俺は浮気なんてまったくもってできないような環境なのよ」 「オキノドクサマ・・・・」 「で、ナルトは?」 「は?」 カカシは食事の手を再び止めてナルトをじっと見る。 探るように。 「ナルトはそういう相手はいるの?」 「そういうって…浮気相手?」 「ん〜…不倫関係とかだけじゃなくって、彼女とか・・・」 「残念だけどそういう相手はいないんだってばよ。 俺ってば全然もてねぇからな」 「そうなの?お前、結構モテると思ったんだけど・・・・」 「いや、マジでいねぇし・・・・・っていうかできねぇし・・・」 「そお?じゃ、何で不倫の話なんか俺に振ったの?」 「ああ・・・・あんまり気にするような事じゃないってばよ?」 「気になるでしょ」 「まぁ・・・そうだよな・・・」 カカシは再び食事を開始した。 ナルトはそ知らぬ顔をして食事をしているカカシをジッと見た。 「実はさ、今日、カカシ先生が来る前にテレビを見てたんだってば。 駅前のホラ」 「ああ、あの大きな路上スクリーン?」 「そう。最近さ、誰だっけ?良くCMとかにも出てるあの女優!」 「女羅 あず?」 「そう!その女優が主演をしてる不倫系のドラマやってんじゃん。 それが丁度先生を待っているときにあった!だから聞いてみただけだってばよ」 「ああ、あのかなりディープなドラマがね・・・。よく路上で放映できるよね」 「俺もそう思うってばよ。確かに子供がうろつく時間帯じゃねぇけど、 一応モラル的なものはあるべきだと思うってば」 「まぁ、ね。それで、お前が不倫の話を俺に振った理由?」 「うん」 「・・・・・・・・」 カカシはガックリと頭をたれた。 「お前ねー・・・・」 「ん?どうしたってば?」 「・・・・はぁ、なんでもないよ」 「?」![]()
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