第二章 繋
      
 






ナルト宅



「なつかしの我が家だってばよ!!」


2ヶ月と2週間の別れの所為で、ナルトの部屋は少々埃っぽくなっている。


「ほらナルト。洗濯物を出せよ。
俺が洗うから、お前はリハビリもかねて部屋の掃除をしろ!」
「わかったってばよー」


イルカに洗濯物を託して、ナルトは部屋の片付けに取り掛かった。
病院でリハビリをしていたとしても、流石にまだまだ息切れをする。
物を幾つか動かして、雑巾がけをしているだけで少々荒れ気味。
それでもイルカの手伝いのおかげでなんとかやっていっている。


「ねぇ、イルカ先生」
「なんだ?」


イルカは小学校の教師をしている。
その学校にナルトが通っていたわけではないが、職業上で“先生”と呼んでいる。


「あのカカシ先生ってさ、結構変わった人だったってばよ」
「そうなのか?とてもいい先生のような気がしたぞ?」
「確かにいい先生だってば。でもカワリモノのような気がしたってばよ」
「どんな風にだ?」


ナルトは「う〜ん」と考えるようにうなった。
イルカは今、掃除機を当てていたが、そのスイッチを切った。
代わりに雑巾を持って、棚などを拭き始めた。
もちろん耳はナルトに傾いている。


「なんつーかー・・・不思議な人ってゆーかー・・・」
「興味をそそられる?」
「そんなかんじ!!」


「ビンゴ!」とでも言いそうな顔でイルカを指差した。
イルカはそんなナルトを少し驚いた表情で見ていた。



ナルトは昔から、あまり人には興味を示さなかった。
自分を育てた環境がそうさせたのかもしれない。
ナルトは幼くして両親を失った。
原因は交通事故。
家族3人でイルカの元へ遊びに行っていた途中で事故にあった。
ナルトの両親は死に、幼いナルトは一命を取り留めた。
祖母祖父(イルカの父母ではない方)に引き取られた。

2人とも、ナルトを“疫病神”のように思い、忌み嫌った。
あの2人が死んだのはナルトの所為だと・・・。

そんなすさんだ祖父祖母に育てられ、ナルトは誰に対しても興味を沸く事のない少年へとなった。
その後、祖父が死に、ナルトはイルカに引き取られた。
祖母は「こんな奴の所為で・・・こんな奴の所為で・・・」とうわごとのように言っていた。
自分の生涯の伴侶が居なくなり、狂ったようになった。

それを見て、「もう無理だろう」と判断したイルカはナルトを引き取った。
当時のナルトの年は15歳。
既に結婚していて、子供をもうけていたイルカは“自分の子供のお兄ちゃん”的存在としてナルトをおいた。
その経験からナルトも徐々に心を緩ませていくようになった。
しかし、未だにあまり人には興味を示さない。
よほど珍しい人か、特別な人ではない限り、ナルトのテリトリーに入る事は不可能だ。

そのナルトがたった2ヶ月と2週間一緒に居ただけの主治医に興味をしめした。


「それで、その“カカシ先生”とは仲良くなれたのか?」
「うん!!先生と一緒に飯を食う約束までしたし」


そこまで進んでいるとは流石に予想もしていなかったので、イルカは心底驚いている。
まだ幼さを残す20代のナルト。
その顔は少しも引きつる事も無くニッコリと笑っている。
その笑顔から、カカシの存在が残酷なものとなるとは思いもしなかった。