第一章 事故
事故から一ヶ月。 2人は“医者”と“患者”から“不思議な関係”に変わった。 「お前ってすごいよねー」 「何がってば?」 ナルトの包帯を解きながらボソリと言った。 「あの事故って、どう考えても複雑骨折ぐらいはしているはずなのに・・・」 「自分でも驚いているってば!絶対に死んだと思ったし・・・」 「なのに右腕と左足のヒビで済むとか、ありえん」 包帯をすべてはずし、ギブスもはずす。 あらわになった右腕の状態を念入りに調べる。 トントンと優しく腕を叩いて、「いたい?」って聞く。 「大丈夫」といってヘラッと笑うと、少し安心したように柔らかく笑った。 「この状態だったら、あと1ヶ月ぐらいで大丈夫そうだね。すんごい回復力」 「元気だけが取りえだかんな」 「そんな事もないでしょ?お前にはいっぱいあるじゃない」 右腕を消毒液をしみこませたガーゼで拭かれた。 スーッとしたアルコールの感覚が気持ち悪い。 「どんな?」 「ん〜?お前はね、人を明るい気持ちにさせる力がある。 だから、俺もココに入り浸るし、あの家族だってお前を気に入ったんだよ」 「それは、俺があの子を助けたからだってばよ」 「現に気に入れられてるじゃない。 それに、普通ならココまでの重症を負わせたらあんなに笑顔で喋られないよ」 「そうかなぁ〜」 「そうなの。少なくても俺がそうなの」 「先生が?」 「そう。お前が来る前って俺は患者をカルテの内容でしか見てなかった。 医学的にしか患者には興味はわかなかった。 患者やナースや他のドクターとかに近づかれても逃げてたほどだし。 他人が近くにいるのが嫌な性質なんだよね。 そんな俺がお前の病室に入り浸るほどなんだぞ?」 「・・・・ん、なんか・・・照れるってば」 ナルトは照れたように顔を伏せた。 その頬と耳はほんのり赤みを帯びている。 そのナルトを盗み見しながらカカシは消毒をした。 消毒が終わり、適当にガーゼをワゴンの上に置く。 「足を上げて」と言って、次は左足のギブスに取り掛かる。 「だから俺は嬉しいの」 「嬉しい・・・ってば?」 「うん。お前みたいな奴に出会えて。 この世もまだまだ見捨てたもんじゃないね」 「って、センセーってば、まだそんなに年取って無いじゃん」 「当たり前でしょー。俺はまだまだピチピチよ?」 「ブハッ・・・キモイってばよ」 「・・・・・・傷つくからね」 そんなことを言いながら、入院して一ヶ月で骨を再生させたナルト。 ギブスを外しながら少し寂しいと思うカカシ。 差し出された白い足に消毒液を塗りながら、自分の気持ちに気付かぬ振りをした。![]()
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