第一章 事故
ナルトが病院に運ばれて2週間で一般病棟に移された。(個室) マスクもはずされ、少しだけなら喋られるようになった。 会社の同僚や上司もお見舞いに来てくれた。 3週間で女の子とその両親がお礼を言いに来た。 両親は何度も何度も頭を下げた。 女の子は少し照れながら小さな声で「ありがと、お兄ちゃん・・・」と言った。 元来、明るい性格が魅力の一つだったナルトはこの家族にかなり気に入られた。 この家族の大黒柱は、大手コンビニチェーン店の重役らしく、取引を向こうから申し出てきたほどだ。 後程社長から、ガッシリと握手を交わしたのは言うまでもない。 そしてもう一つ、事故になって変わった事があった。 「よっ、元気?」 「カカシせんせーってば、また来たの?」 担当の医者がナルトの部屋に入り浸っているのだ。 「だって、ここ落ち着くんだもん」 「オレの病室だってーの!それに、他の患者さんのところに行けよ」 「だって、迷惑になるじゃない・・・?」 「わかってんなら、オレんところに来るなよ!」 「ホラァ〜そうやって熱くなると、傷が開くよ?」 「なら、少しは気を使え――――ってててて」 「ね。ほら、ちょっと見せて」 「仕方が無いなぁ〜」と言いたげに、ノロノロとナルトの腹の傷を診た。 傷は開いてはいなかった。 「ま、けが人は大人しくしときなさい」 「・・・・仕事しろってば」 「ナイもん」 「嘘つけってば。この前、先生の部下が半泣きで先生探してたってばよ」 「あ〜そんな事もあったね」 「オレの上司が先生みたいな人じゃなくって良かったってば・・」 「ん?何?」 「なんでもねー」 この男、畠 案山子という男は、見た目と同様、フザケタ男らしい。 どういう男かというと・・・・。 超一流大学医学部をトップで卒業のエリート坊ちゃん。 25歳で結婚。 外科医。 腕は超一流。 美男子。 手術や処置以外の仕事は殆どやらない。(カルテはちゃんと書くらしい) 挙げられる限り。 特徴。 「先生ってさー」 「ん?何?」 ナルトが呼びかけると犬のように反応し、愛読書から目を離した。 「いっつもこうなの?」 「“こう”って?」 「こんな風に誰かの病室に入り浸ってんの?」 「いや、お前が初めて」 既にタメ口。 気にしない性格のナルトは、どちらかと言うとこっちの方が話しやすい。 その上、気が楽だ。 「んじゃ、なんでオレの部屋に入り浸るの?」 「お前が気に入ったから」 「は?」 相変わらずのマスクの所為で顔は殆ど見えない。 それでも隠れた顔がニコニコと笑っているのが分かった。 「俺、お前みたいな性格が好きなんだよね。 気を遣わなくていいし、のんびりできるし、落ち着くし。 ナースや他のドクターは、堅っ苦しいか、女だったら色気で迫ってくるし。 一応、奥さんがいるから気が抜けないんだよね。 寝たり寛いだりしている時にナニされるかわかんないし・・・」 「なんか・・・されたのか?」 「未遂だけどねー。でも、その事で奥さん悲しませちゃったからね、気をつけてんの」 「奥さん、大切にしてんだな」 「まぁね。無節操だと思われるのは別にいいけど、そしたら患者さんとの関係に悪影響だし」 「だから男のオレか・・・」 「それもあるけど、さっきも言ったように、お前個人“渦巻 鳴門”が気に入ったの」 「なんか・・・・・変なカンジだけど、でも、アリガトってばよ」![]()
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