第一章 事故
      
 








「大丈夫?・・・じゃないよねぇ〜」


暢気な声を出して、当たり前のことを言う。
目だけを動かして医者を見る。

入ってきた医者は、銀髪を頭に蓄え、左右の目の色が違い、さらに左目に傷。
顔を半分くらい隠すマスク。
怪しさ満点の風貌の男がクタクタの白衣を着ているから尚更怪しい。


「君さ〜、無茶するよね〜。女の子を助けるためとはいえ、猛スピードで突っ込んでく
る車に飛び出すんだから」


医者は看護士からカルテを受け取り、それを上から下へと流すように見た。
カルテから顔をあげ、ニッコリと胡散臭い表情で笑う。


「しかも幸運だよねー。
普通の人間なら絶対に死んでるのに、喩え運が良くても下半身か全身が麻痺して、一生
ベッドで暮らす事になっていたはずなのに・・・。
君は幸運の上に幸運を積み重ねて、全治3〜4ヶ月ぐらいだ。
ねぇ?バケモノ?」


喋りながら幾つかの器具をはずしていく。
この失礼な医者は楽しそうだ。
隣の看護士は頬を染めながらチラチラと医者を見ている。
器用なのか、それをしながらナルトの包帯を巻きなおしている。


「あ、自己紹介が遅れたけど、俺は君の担当医の畠 案山子ね。
変な名前だから覚えやすいでしょ。
よろしくね。渦巻 鳴門さん」