第一章 事故
      
 








看護士が去った後、ナルトは自分の腕を上げてみた。




―――――痛くて動かない。



身体を無理にでも動かそうとすると、全身が軋むように痛い。


当たり前だと苦笑する。


ゆっくりと目を閉じ、事故にあったときのことを思い返してみる。























ナルトは何時ものように外回りをしていた。
入社一年目のまだまだ青二才。
そんな自分でも会社は担当を持たせてくれた。
担当するエリアに新商品のPRやショップ回りを行う。
少しでも会社の利益に貢献するために当たり前の行動である。



凍える冬。
月は1を指している。
気温は8℃。
考えるだけで寒気がする。
そんな中でも仕事をきっちりこなす所がナルトの良いところだ。




会社からの駅と次の駅の中間ぐらいのところを歩いていた時に事件が起きた。
広めの交差点。
右隣には、ヘッドフォンから音漏れがしているくらいの音量で聞いている高校生。
左隣には、小さな女の子。

目の前の信号は赤。
立ち止まって信号待ちをする。




ドンッ



「キャッ」


後ろから来た若者たち(といっても18歳くらい)が話に夢中になりすぎて信号に気付かず、女の子を蹴る様に押してしまった。
その所為で女の子は赤信号の横断歩道の真ん中まで飛ばされてしまった。

息が止まる。
その場にいた者の殆どはそうなった。
目の前の少女が危険だ。
横からは車。
信号が変わってから少したっているからスピードは十分。
引かれたら遂(おわり)だろう。


ナルトは反射的に横断歩道に駆け出していた。
自分でもなんでそんな行動を取ったのかも分からないくらい、反射的に。


「危ないっ!!!」
「きゃぁぁぁっ」


ナルトは女の子を庇うように自分の身体で包んだ。
抱きしめるように包み込んだ。

車は避けようとしたが、一歩間に合わず、







ドンッ




短い鈍い音共にナルトと女の子をはねた。
その衝撃でナルトは交差点の向こう側に投げ出された。
女の子はガードレールの隅。

逆サイドの車は、まさか人が飛んでくるとも思わず、





ドンッ





と再びナルトは引かれた。















(あんな事故で生きている自分って、すんごく幸運だってば・・・)

そうしみじみ思っていると、病室の扉が開いた。